CI/CDの処理時間を意識する理由

入門 | 10分 で読める | 2026.06.27

公式ドキュメント

CI/CDは作って終わりではない

CI/CDを組めると評価されます。未経験や転職準備中のポートフォリオでも、PR時にlint、test、buildが自動で走るだけで印象は変わります。

ただし、実務ではもう一段あります。

CI/CDは「動くか」だけでなく、「開発の邪魔をしない速さか」も重要です。

チェックが正しくても、毎回長時間待たされると開発速度に影響します。

遅いCIはじわじわ効く

たとえば、PR作成時に次の処理が走るとします。

install: 2分
lint: 3分
typecheck: 2分
test: 4分
build: 3分
合計: 14分

1回だけなら待てます。しかし、PRレビューでは何度も修正が入ります。

1回目のPR -> CI待ち
レビュー修正 -> CI待ち
追加修正 -> CI待ち
merge前確認 -> CI待ち

小さな待ち時間が、チーム全体の開発速度を落とします。

コミット時のhookも同じ

CIだけでなく、コミット時のhookも開発体験に影響します。

git commit
  -> lint
  -> format
  -> typecheck
  -> test

ここで毎回数分待つと、開発者はhookを避けたくなります。結果として、品質チェックが形骸化します。

pre-commit hookでは、軽い処理だけを高速に実行するのが基本です。

場所向いている処理
pre-commit変更ファイルのformat、lint
pre-push短いtest、typecheck
PR CIlint、typecheck、unit test、build
main CIdeploy、E2E、重い検証

全部を毎回走らせると、品質より待ち時間が目立ちます。

速くするだけで喜ばれる

CI/CD高速化は、地味ですが実務でかなり喜ばれます。

理由:

  • PRレビューが早く回る
  • 小さな修正を出しやすくなる
  • 開発者がhookを無効化しにくくなる
  • デプロイ待ちが短くなる
  • チーム全体の心理的負担が減る

機能追加と違って目立ちにくいですが、毎日使う開発基盤なので効果が積み上がります。

見るべき時間

CI/CDで見る時間は、合計時間だけではありません。

指標意味
install時間依存関係の復元にかかる時間
lint時間静的解析にかかる時間
test時間テスト実行時間
build時間本番ビルド時間
queue時間runner待ち
retry回数不安定さ
最頻パス普段のPRで一番通るルート

たまに走る重いE2Eより、毎回走るlintやtypecheckの方が開発速度に効くことがあります。

高速化の基本方針

速くする方法は、大きく4つです。

方針
減らす不要なjobを動かさない
絞る変更ファイルだけlintする
並列化するlint、test、buildを別jobにする
再利用するcache、artifactを使う

特に効果が出やすいのは、依存関係キャッシュ、変更ファイル対象のlint、job分割、古いCIのキャンセルです。

HuskyからLefthookという選択肢

コミット時hookの高速化では、HuskyからLefthookへの移行が選択肢になります。

LefthookはGo製のツールで、hookの起動が軽く、コマンドの並列実行もしやすいです。

Husky構成では、npxnpm runlint-staged などを組み合わせることが多く、設定次第で直列実行が増えたり、Node.jsプロセス起動が重なったりします。

Lefthookへ移行すると、プロジェクトによっては体感できるレベルでpre-commitが速くなることがあります。

ポートフォリオで見せる価値

ポートフォリオでは、最初から完璧なCIを作る必要はありません。

おすすめの流れ:

1. GitHub Actionsでlint/test/buildを自動化
2. Husky + lint-stagedでpre-commitを導入
3. 実行時間を測る
4. Lefthookへ移行
5. before/afterをREADMEに書く

これができると、「CI/CDを入れた人」から「開発体験まで改善した人」に見えます。

まとめ

CI/CDは、品質を守る仕組みです。しかし、遅すぎるCI/CDは開発速度を落とします。

  • PRやcommit時の待ち時間は積み上がる
  • pre-commitでは軽い処理だけを高速に回す
  • PR CIとmain CIで責務を分ける
  • cache、並列化、変更ファイル対象化が効く
  • HuskyからLefthookへの移行も有効な選択肢
  • ポートフォリオではbefore/afterを見せると強い

CI/CDを組めるだけでなく、速さまで意識できると一段上に見られます。

参考リソース

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