AIにコードレビューさせる時の聞き方

入門 | 9分 で読める | 2026.07.09

公式ドキュメント

今回やること

AIへコードレビューを頼む時の情報と、指摘を安全に検証する手順を学びます。

  1. 変更目的と対象差分を整理する
  2. レビュー観点と優先度を指定する
  3. 根拠を含む出力形式を決める
  4. 人が指摘を検証する

AIは見落とし候補を増やす補助者です。最終判断と実行確認は人が担当します。

なぜ聞き方が重要なのか

コードだけでは、AIは変更理由や守るべき仕様を確定できません。「レビューして」だけでは、命名の好みを詳しく述べる一方、認可漏れや互換性の問題を見逃すことがあります。

良い依頼は正解を保証しませんが、確認範囲を狭め、指摘を検証しやすくします。重要なのは指摘の数ではなく、根拠を確かめられる指摘の数です。変更の背景を共有すると、仕様変更と単なる不具合を区別する助けにもなります。

秘密情報、個人情報、未公開の認証情報は入力しません。組織で許可されたAIサービスとデータ範囲も先に確認します。 許可範囲が分からない時は、送信前に担当者へ確認します。

レビュー依頼の流れ

AIコードレビューへ目的と非目的、契約と前提、観点と優先度、根拠と確認方法を渡し、人が検証し、秘密情報は渡さない流れ

1. 目的と非目的を書く

利用者から見た変更を1〜2文で書きます。

目的: ログアウト時にサーバー側セッションを無効化する
非目的: 認証方式と画面デザインは変更しない

2. 差分と前提を渡す

対象ファイル、関連する型やテスト、成功時と失敗時の仕様を示します。巨大なリポジトリ全体より、差分と直接の呼び出し元を選びます。

Gitでは次のコマンドで差分を保存できます。

git diff --staged > review.diff

内容を確認し、秘密情報や無関係な変更がない場合だけAIへ渡します。

3. 観点と優先度を指定する

今回の変更で壊れやすい場所を先に伝えます。

  • 認証・認可
  • 入力検証
  • エラー処理
  • 既存利用者との互換性
  • 同時実行や二重送信
  • テスト不足

すべてを同じ重さで求めず、重要な観点を2〜4個へ絞ります。

4. 出力形式を決める

各指摘に、優先度、場所、問題になる条件、根拠、確認方法を求めます。

優先度: 高 / 中 / 低
場所: ファイル名と行
問題: 何が起きるか
条件: どの入力や状態で起きるか
根拠: 仕様またはコード上の理由
確認: 再現手順や追加テスト

5. 人が検証する

指摘をそのまま修正へ変えません。該当コード、仕様、実行結果を確認し、正しい指摘だけを採用します。

そのまま使えるテンプレート

次の差分をレビューしてください。

変更目的:
- [利用者から見た目的]

変更しないこと:
- [対象外]

前提:
- [守る仕様や権限]

重点観点:
1. [最重要の観点]
2. [次の観点]
3. [必要なら追加]

各指摘は、優先度、ファイルと行、問題になる条件、
根拠、確認方法の順で示してください。
根拠を確認できない場合は推測と明記してください。
書式だけの好みは、動作や保守性へ影響する場合だけ指摘してください。

例:認可漏れを探す

プロフィール更新APIの差分を確認するとします。

悪い依頼:

このコードをレビューして。

改善した依頼:

本人だけが自分のプロフィールを更新できるAPIです。
管理者機能は今回の対象外です。

認証済みでも、URLのuserIdを書き換えて他人を更新できないか、
入力検証とエラー時の情報露出に絞って確認してください。

指摘には、問題になるRequest例と追加すべきテストを付けてください。

後者なら「ログインしているか」だけでなく「対象データを操作する権限があるか」を確認しやすくなります。

指摘を検証する

次の順番で1件ずつ確認します。

  1. 指摘された行と呼び出し元を読む
  2. 問題になる入力や状態を作る
  3. 既存テストを実行する
  4. 必要なら失敗を再現するテストを追加する
  5. 最小の修正後に同じ手順を再実行する

AIが存在しないAPIや古い仕様を前提にすることもあります。公式資料とプロジェクト内のversionを照合してください。

指摘を採用しない判断も記録します。たとえば「既存middlewareで認可済み」「この入力はschemaで拒否済み」のように根拠を残すと、同じ誤検知を繰り返し確認せずに済みます。反対に、再現できないだけで安全と決めず、権限条件や実行環境が揃っているかを見直します。

修正案を求める場合も、最初から大きな書き換えを依頼しません。問題を再現するtest、最小の変更、変更後の確認commandを順に求めると、AIの提案と検証結果を対応付けられます。

成功を確認する

AIへ依頼した後、次を確認します。

  • 目的、非目的、前提を渡した
  • 指摘にfile、発生条件、根拠、確認方法がある
  • 少なくとも1件を再現するか、根拠を示して反証した
  • secret、個人情報、未公開の認証情報を送っていない

指摘数が多いことではなく、採否を説明できることが成功です。

よくあるつまずき

差分だけを貼って目的を書かない

正しい動作を判断できません。目的、非目的、守る契約を短く添えます。

観点を増やしすぎる

回答が浅くなります。変更の危険度に合わせて優先順位を付けます。

指摘をまとめて自動修正する

誤った指摘も混ざります。1件ずつ再現し、テストで確認します。

秘密情報を貼る

token、Cookie、顧客データを入力しません。差分を送る前に内容を確認します。

練習

「問い合わせフォームへ文字数制限を追加した」という差分を想定し、テンプレートを埋めてください。

確認基準は次のとおりです。

  • 目的に上限値と利用者への結果がある
  • 空文字、上限ちょうど、上限超過を観点に含める
  • frontendだけでなくserver側検証も確認する
  • 指摘へ再現入力とテストを求める
  • 個人情報をAIへ渡さないと明記する

まとめ

  • 変更目的、非目的、前提を先に渡す
  • 差分と関連範囲だけを選ぶ
  • 観点へ優先順位を付ける
  • 指摘には根拠と確認方法を求める
  • AIの回答は人がコードとテストで検証する

次のステップ

次はコードレビューで意図とリスクを確認するチェックリストを使い、人間のレビュー観点も整理しましょう。

参考リソース

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